働きながら司法書士は目指せる?効率よく資格を取得するための方法
社会人が司法書士を目指す場合、現在の仕事を辞めて受験勉強に専念すべきか悩む人も多いと思います。しかし、働きながら司法書士を目指している方も多数いるというのが実情です。そこで今回は、社会人が司法書士を目指すメリットとデメリットや、仕事と勉強を両立させながら効率よく資格を取得するための方法を解説します。
もくじ
働きながら司法書士を目指すことは可能
結論からいうと、もちろん、働きながら司法書士を目指すことは可能です。ただし、司法書士の試験は、合格率4%と取得するのがかなり難しい資格といえます。働きながら受験勉強するには、限られた時間を効率的に使い、しっかりと対策を考えて試験に臨む必要があるでしょう。
しかし、仕事を辞めずに勉強ができれば、収入面で安心できるというメリットもあります。司法書士試験は、年齢や学歴/職歴の制限がなく、何度でも受験することが可能なため、働きながら資格取得したいという方にも受験しやすいといえるでしょう。
働きながら司法書士を目指すメリット・デメリット
ここからは、社会人が働きながら司法書士を目指すメリットとデメリットを詳しく解説していきます。では、1つずつみていきましょう。
■メリット1:働き方の選択肢が広がる
司法書士の資格を取得できれば、司法書士事務所や投資コンサル会社への転職はもちろんのこと、現在働いている会社の法務部へ異動するといった新たな選択肢も広がります。また、いずれは、司法書士として独立開業に挑戦することも可能です。今すぐに会社を辞めるつもりがなくても、いざという時に役立つ資格であることは間違いありません。
■メリット2:社会人経験が活かせる
社会人経験がある人の強みとして、ビジネスマナーなど、社会人の基本スキルがすでに身についているということが挙げられます。司法書士であっても、対人折衝や電話応対、スケジュール管理などの基本的なビジネススキルは必要です。学生から司法書士になった人や社会人経験が短い人に比べると、さまざまな経験を積んできた人の方が、即戦力になりやすいでしょう。
■メリット3:経済面や精神面での不安が少ない
働きながら司法書士を目指す場合、収入があるため経済的な不安が少ないといえます。安定した収入があれば、普段の生活を切り詰める必要もなく、司法書士の予備校などに通う費用も工面できるため、心に余裕を持つことができるでしょう。また、万一合格できなかった場合でも、社会人を続けているため精神的に追い詰められたりする心配が少ないのではないでしょうか。
■メリット4:現職や日常生活で学習した知識を役立てることができる
現職や日常生活で学習した知識を役立てることができることもメリットの一つです。司法書士の勉強をすることで、身近な法律についての知識が身に付きます。そして、資格の勉強で得た知識を現職や日常生活のなかで生かせる場合があります。
■デメリット1:両立に失敗すると仕事も勉強も中途半端に
前述した通り、司法書士の資格は取得するのが大変難しいため、かなりの勉強量が必要です。仕事と勉強を両立する場合、勉強する時間を思うように取れずに挫折してしまう人も少なくありません。
また、徹夜して勉強をつづけた結果、仕事に集中できずミスをしてしまうという可能性もあります。試験にも合格できず、仕事でもミスを連発といった状況にならないよう、覚悟を持って取り組む必要があるでしょう。
■デメリット2:受験期間が長期化する可能性がある
働きながら司法書士試験を受けようとする場合、勉強時間がどうしても限られてしまうため、受験勉強に専念している人に比べると、受験勉強期間が長期化する傾向にあります。
また、どこかで「まだ仕事を辞めていないから、万一不合格でも大丈夫」という安心感があり、自分自身に甘くなってしまうという人もいるようです。司法書士試験は、だらだらと勉強を続ければ、いつか必ず合格できるというものではありません。目標とする期限をしっかり決めて、本気で取り組む覚悟が必要です。
■デメリット3:学習時間が少ない
一方、働きながら司法試験の合格を目指すことのデメリットは、学習時間が少ないということが挙げられます。働きながら資格の取得を目指すということは、勉強可能な時間は休日や仕事から帰宅した後などになるため、どうしても学習時間が限られます。
個人差がありますが、一般的に司法試験に合格するために必要な学習時間は3,000時間といわれています。限られた時間の中で学習していかなければならないため、合格までに時間がかかる傾向にあることはデメリットであるといえます。
働きながら司法書士資格取得を目指すためには?
司法書士とは仕事を通じて人々の財産・権利などを守り、暮らしに関する「法的問題を解決する」仕事です。主な業務としては、依頼を受けて法務局・裁判所・検察庁などへの提出書類を作成することが挙げられます。それに加えて、他人の代理として登記手続きを行うなど、法律に関連した業務がメインです。
司法書士になるためには、法務省が1年に1度実施する司法書士試験を受験し、合格する必要があります。そして、司法書士の試験には受験資格がないため、年齢・性別・国籍・学歴などに関係なく受験できます。
司法書士試験を受験するには、例年4月ごろから配布される受験申込書に必要事項を記入し、受験料として8,000円分(非課税)の印紙と自分の顔写真を貼り付けて応募します。出願期間は5月、筆記試験は例年7月に行われています。
そして、筆記試験に合格した人だけが10月に行われる口述試験の受験資格を得ることができます。司法試験の資格は国家資格の中でも非常に難しく、社会人として働きながら資格を取得するには効率よく勉強を行う必要があります。
しかし、令和元年度における司法書士試験の合格者の平均年齢は40.08歳で、全体の7割を30~40代が占めています。つまり、受験者の多くは働きながら司法書士の試験を受験していると考えられます。
たとえば、会社員として働きながら1度目の試験で合格した人もいます。働きながら、勉強時間をしっかりと確保し、日々の生活の中でどのように勉強時間を捻出するのかを考えた上で勉強を行い合格しています。
具体的な勉強方法は、基礎知識は通信講座の講義を利用してインプットを行い、ある程度の範囲の学習が終わるまでは講義内容の復習を徹底的にいます。そして、講義でひと通りの内容を学び終えたら、過去問を解いていきます。このように社会人でも司法書士の資格の合格を目指すことが可能であるといえます。
独学が難しい場合は予備校がおすすめ
社会人の場合、勉強時間をどれだけ多く確保できるかが重要になってきますが、どんなに頑張っても仕事をしている以上、自由に使える時間は限られています。そのため、短い時間でも効率的に学習するスキルが必要です。もちろん、自分で学習スケジュールを組んで勉強している人もいますが、独学で効率よく勉強を進めることが難しいと感じる場合は、予備校等の司法書士試験講座がおすすめです。
予備校の講座は、無駄を省いた効率的なカリキュラムが組まれているため、その流れに沿って勉強するだけで、自然と司法書士になるための知識が身に付きます。また、登記法や供託法、民事執行法など、独学で理解するには難しい分野も丁寧に教えてもらえます。予備校に通うとなると費用は掛かりますが、間違いなく合格への近道となるので、よほど独学に自信のある方以外は、予備校などの講座を利用した方が賢明です。
働きながら司法書士資格取得を目指す際の注意点
働きながら司法書士資格取得を目指す際の注意点として、強い動機を持つことが大切です。司法書士試験の試験範囲は広く、時間をかけて勉強を行わなければなりません。何となく試験勉強を始めてしまうと途中で挫折してしまうことが考えられます。
さらに、働きながらの場合は仕事で疲れている中で勉強を続けていくため、強い動機を持ちながら試験勉強を行うことをおすすめします。
また、ストレス解消法を見つけておくことも重要なポイントです。働きながら司法試験の合格を目指す場合、長期間学習を続けるケースが一般的です。そのため、ストレスが溜まってしまうことが想定されます。
ストレスが溜まって学習に集中できないという事態を避けるために、適度に息抜きをする方法を見つけておくことが重要です。
まとめ
今回は、社会人が司法書士を目指すメリットとデメリットや、仕事と勉強を両立させながら効率よく資格を取得する方法を解説しました。
司法試験は非常に人気の資格ですが、合格には多くの学習時間が必要です。とくに働きながら合格を目指す場合は、かなりの忍耐力が必要となります。しかし、社会人経験を活かすことができ、金銭的に安定しているため精神的に安定して試験に臨むことができるなどのメリットがあります。
働きながら試験勉強する場合、学習時間が限られるため、いかに効率よく勉強を進められるかがカギとなります。予備校などの司法書士試験講座を利用して、無駄なく勉強に取り組めるようにしましょう。また、本気で合格を目指すのであれば、ある程度自分を追い込む覚悟を持つことも大切です。