司法書士試験の試験科目は何種類?主な受験資格についても詳しく解説!
司法書士の試験は、数ある国家資格の中でも非常に難易度が高い試験といわれています。興味がある人は、詳しい試験内容や合格基準、勉強法について気になるのではないでしょうか。この記事では、司法書士試験について試験科目、受験資格、合格基準点、合格するためのポイントなどを詳しく解説しています。
司法書士試験の試験科目
司法書士試験には、11科目の筆記試験と筆記試験の合格者のみが受けられる口述試験があります。
筆記試験科目の問題数や内容について
まずは、受験生すべてが対象となる筆記試験について、問題数や内容などを解説します。司法書士試験は、午前の部と午後の部に分かれています。午前の部は試験時間が120分で、憲法(3問)、民法(20問)、刑法(3問)、商法(9問)が択一式で問われます。例年、問題数が少ない憲法や刑法は難易度が低めの傾向にあります。
一方、11科目の中でも最多の問題数が配分されている民法は、司法書士の仕事と深く関わる教科でもあり、合格のキーポイントとなる科目です。午後の部は試験時間が180分で、択一式と記述式という二つの試験パターンが出てきます。択一式で問われるのは、民事訴訟法(5問)、民事執行法(1問)、民事保全法(1問)、司法書士法(1問)、供託法(3問)、不動産登記法(16問)、商業登記法(8問)です。
そして、記述式で問われるのは、この中の不動産登記法(1問)と商業登記法(1問)となります。午後の部では、不動産登記法と商業登記法の2つから多く出題されています。この2科目は、記述式の試験でも問われるので、民法と同じく合格のキーポイントになる科目といえます。
筆記試験の主要科目とマイナー科目について
受験生は、試験科目を主要科目とマイナー科目の2つに分けて考えています。主要科目とは出題数が多い科目のことで、民法(20問)、商法(9問)、不動産登記法(16問)、商業登記法(8問)の4つを指します。その他はマイナー科目とよばれ、憲法(3問)、刑法(3問)、民事訴訟法(5問)、民事執行法(1問)、民事保全法(1問)、司法書士法(1問)、供託法(3問)の7つを指します。
司法書士試験の筆記試験では、合計70問の択一式問題のうち53問が主要科目から出題されるため、主要科目をしっかりと勉強することがとても大切といえます。
口述試験の内容について
口述試験は、筆記試験の合格者のみが受けられます。試験時間は一人につき約15分で、司法書士法、不動産登記法、商業登記法の3科目の中から出題されます。面接官が口頭で問題を出題し、受験生が解答するという形式で行われ、解答の正誤だけではなく論理的な説明になっているかなどもチェックされます。しかし、筆記試験を合格した人であればそれほど難しくない試験であり合格率も高いといわれます。
司法書士試験の受験資格
司法書士試験は、性別、国籍、学歴、職歴、年齢などに制限がないので、基本的に誰にでも受験資格があります。ただ、一部の欠格事由にあてはまる場合には、試験に合格しても司法書士として登録することや業務を行うことができないので注意が必要です。
主な欠格事由は、未成年者、禁固刑の執行から三年経過していない者、公務員として懲戒免職を受けてから三年経過していない者、司法書士として業務禁止の処分を受けてから三年経過していない者、懲戒処分を受けて公認会計士の登録が抹消され、または税理士、弁理士、土地家屋調査士、行政書士の業務が禁止され、これらの処分を受けてから三年経過していない者、破産者であり復権を得ていない者などがあります。
司法書士試験の合格基準
先述したように、司法書士試験は午前の部(択一式)、午後の部(択一式)、午後の部(記述式)の3つの部に分かれています。そして、司法書士試験に合格するには、試験の後に出される各部の合格基準点をすべて満たしたうえで、3つの筆記試験の総合点でも合格基準点を満たすことが必要です。合格基準点はその年の受験生の得点によって異なります。
また、司法書士試験は事前に合格者数が決められている相対評価の試験なので、すべての合格基準点を満たした人の中でも成績上位者だけが合格できる仕組みとなっています。
司法書士試験に合格するためには?
司法書士試験は、数ある国家試験の中でもかなり難易度の高い試験といわれ、2019年度の合格率は4.4%、2020年度の合格率は5.1%と狭き門です。そんな司法書士試験に合格するためには、勉強時間の確保と効率のよい勉強の2つがキーポイントとなります。ここでは、その2つについて解説します。
勉強時間の確保
人によりますが、一般的には、司法試験に合格するには約3000時間程度の勉強時間が必要といわれます。一例ですが、約2000時間前後の勉強時間で1年半かけて合格するとしても、1日約4時間、週6日の勉強が最低ラインです。勉強時間の確保については、自分でしっかり意識して日々のスケジュールの中に組みこみましょう。
効率のよい勉強
効率よく勉強するには、初学者は特に予備校を利用するのがおすすめです。費用はかかりますが、カリキュラムにそって法律の基礎を学ぶことや、試験問題を攻略するポイントなどを教えてもらえるからです。勉強の時間配分としては、択一式試験の中で出題数が多く、記述式試験でも内容が問われる主要科目に多くの時間をあてるのがよいでしょう。
また、内容的には幅広い知識を定着させることが合格への近道になります。そのため、通勤時間など、すきま時間をうまく使って根気よく勉強することが大切です。
司法書士試験の大まかなスケジュール
次は、司法書士試験を受ける際の大まかなスケジュールをご紹介します。詳しい期日等は、毎回若干ですが異なる可能性があります。実際に司法書士試験を受けるときがきたら、必ず確認しましょう。
受験申請書の配布
司法書士試験を受ける際は、受験申請書が必要です。受験申請書は、法務局や地方法務局で配布します。一般的に配布期間は、4月から5月中旬頃です。配布期間については、毎回同じ日時とは限らないので必ず確認しましょう。
出願
受験申請書の提出は、5月中旬頃です。持参と郵送のどちらでも受け付けていますが、配布期間後半と重なっていることも多いので早めに提出しましょう。また、司法書士試験では受験申請書だけでなく、受験手数料、写真、切手(郵送の場合)が必要です。ちなみに受験手数料は、現金ではなく収入印紙を購入し、受験申請書に貼付します。
試験日と発表日
司法書士試験は、択一と記述を組み合わせた筆記方式です。司法書士試験は7月頃に予定しており、各地の試験会場にて行われます。試験会場は、法務省の公式ページより確認できます。発表日は、筆記試験正解発表日と筆記試験合格者発表日の2つです。筆記試験正解発表日は8月中旬頃、筆記試験合格者発表日は9~10月頃に発表されます。
口述試験
筆記試験を合格した方は、口述試験に挑みます。口述試験とは、面接方式で行われる試験のことで、目の前にいる面接官が受験者に直接質問します。試験時間はおよそ15分、受験者1名に対して面接官は2名です。質問内容は、司法書士法、不動産登記法、商業登記法といった筆記試験で出題した内容になります。しっかり記憶しておけば問題ない内容だと思いますが、面接方式のため、緊張して急に答えが出なくなるかもしれません。日常生活の中で、質疑応答などの訓練を行いましょう。
最終合格者の発表
筆記試験と口述試験が終了すると、いよいよ最終合格発表です。発表は、10~11月ころを予定しています。司法書士試験の合格率は、3~5%台、近年は4~5%台と若干高くなっているものの、依然として狭き門であることは間違いありません。
司法書士試験対策を行う際に注意すべきポイント
どのようなスケジュールや勉強方法で司法書士試験を迎えようかと、考えている方も多いのではないでしょうか。試験に向けた対策は、自分に適した内容がベストです。しかし、注意すべきポイントは抑えておきましょう。
独学はなるべく控える
独学という方法は、決して悪い勉強方法ではありません。しかし、独学の場合は、分からないことがあっても誰かに聞くことができませんし、法律改正などの最新情報の入手も困難です。自分のペースで勉強できるという点については、確かにメリットですが、行き詰ったときのことも考え、予備校も選択肢として残しておきましょう。
何度も繰り返し記憶する
司法書士試験は、民事訴訟法、不動産登記法、商業登記法、行政書士法など広範囲から出題されます。そのため、一度記憶したくらいではなかなか覚えきれません。対策としては、繰り返し勉強し完全に覚えることです。司法書士試験に向けた勉強は、1~2年程度は必要といわれていますから、この間に何度も繰り返して記憶するようにしましょう。
スケジュールを立てて主要科目を抑える
司法書士試験のメインは、民法、商法、不動産登記法、商業登記法といった主要科目です。まずは主要科目をメインにして、集中的に勉強しましょう。主要科目で苦手意識を持つと、試験本番で苦戦します。分からない部分は、理解するまで調べて確実に記憶しましょう。
まとめ
司法書士は、高度な専門的知識を幅広く必要とされる国家資格です。それゆえに司法書士になるには、難関試験を突破しなくてはなりません。ここでは、司法書士の試験について、試験科目、受験資格、合格基準点、合格するためのポイントなどを詳しく解説しました。
司法書士試験は、全11科目で構成された筆記試験です。試験の大半は主要4科目で構成されているため、まずは主要4科目を重点的に勉強しましょう。また、出題範囲が広いので繰り返し記憶することが大切です。
試験内容や合格基準点をよく理解したうえでじゅうぶんな勉強時間を確保し、効率よく勉強することが合格への近道です。独学と予備校のどちらでも、司法書士を目指せますが、スケジュール、理解度、モチベーションという観点から考えると予備校も選択肢のひとつではないでしょうか。
この記事が、司法書士を目指す人にとって参考になれば幸いです。