司法書士が英語を習得する必要性やメリットとは?主な業務内容も紹介
近年、国際化が進む中で、人々にとって英語能力はなくてはならないスキルの1つになろうとしています。これは司法書士にとっても例外ではなく、英語を使って仕事をする場面が増えてきているようです。そこで今回は、司法書士が英語を習得する必要性やメリットを解説するとともに、英語を使う業務内容についても具体的に紹介します。
英語対応の必要性は徐々に上がってきている
国際公用語である英語は、英語圏の人のみならず、アジアやその他地域の人たちとコミュニケーションをとるための重要なツールとなっています。日本でも、「外国人観光客の増加」や「海外企業の日本進出」に伴い、英語対応の必要性が年々上がってきているといえるでしょう。統計でも、以下のようなデータがあるようです。
■ 外国人観光客の増加
2019年に外国から日本を訪れた人は3,188万人で、2011年の622万人と比較すると大幅に伸びていることがわかります。国別集計では、中国や台湾、韓国などのアジア圏が多いようですが、英語圏のアメリカも順調に伸びているようです。
■ 海外企業の日本進出
2018年末の対日投資残高は30.7兆円で、5年連続「過去最高」を更新しています。近年、アジアからの直接投資が増加していますが、残高ベースでは欧州からの投資が半分程度、北米からの投資が約2割を占めており、たくさんの海外企業が日本で活動していることがわかります。
司法書士が英語を習得するメリット
英語能力のある司法書士であれば、日本に進出する海外企業の登記業務などを獲得できるなど、受注できる仕事の幅が広がります。また、司法書士に限ったことではありませんが、一般的に英語スキルを必要とする求人は、給与が高くなる傾向があるようです。以下で詳しくみていきましょう。
■ 国際案件専門の司法書士になることができる
海外企業の進出が多い都市部を中心に、海外企業の事業を専門的にサポートする司法書士事務所が増えてきています。これらの事務所は、英語スキルとともに、海外ビジネスに関する知識を幅広く持っており、登記以外の業務にも対応することで、他事務所との差別化を図っているのです。
■ 収入の増加が見込める
一般的な司法書士として働くのであれば、英語スキルが必要になることは、まずないといえます。しかしながら、企業の法務部などで、法律の知識を活かして働きたい場合は、英語能力を求められることが多くあります。
一般の企業の場合、英語スキルのある人とない人とでは、年収に200万円ほど差があるという調査結果もあり、英語ができた方が収入増を見込めるといえるでしょう。
また、国際案件を専門とする司法書士事務所に応募するには、英語スキルが必須です。そのような事務所の求人は、一般的な司法書士の求人に比べ、高めの月給を提示することが多い傾向にあります。
英語対応を求められる主な業務内容
ここからは、英語対応が求められる司法書士の主な業務について、具体的に解説していくので、1つずつみていきましょう。
■ 渉外登記
渉外登記とは、外国籍の人が、日本の不動産を取得する際の「土地建物登記」や日本で起業する際の「会社登記」を指します。また、外国籍の人が日本にある財産(土地・建物)などを相続する時の登記手続きも渉外登記です。
日本国内の外国人人口増加や海外企業の日本進出に伴い、渉外登記も増えてきていますが、渉外登記は海外企業や外国人特有の注意点があり、高い専門性が必須の難しい業務といえます。
■ 法務文書翻訳
中小企業では、社内で作成した文書を英訳する際、外注の翻訳会社に依頼することが多くあります。
ただし、法律にかかわる文書の場合、一般的な翻訳会社では正確に翻訳できないこともあるため、費用の高い法律専門の翻訳会社に依頼しなければいけません。しかしながら、英語スキルのある司法書士であれば、日本語の文書作成から英訳までを担当することが可能です。
■ 在留資格取得
外国籍の人が日本に在留する場合、在留資格(ビザ)が必要で、ビザを取るための手続きについて相談を受けることがあります。相談者が、日本語をうまく話せない人の場合、英語での対応が求められます。
■ 国際相続
被相続人や相続人が外国籍の場合や、外国に移住している人が相続する場合には、国際相続となるようです。国際相続の場合は、英語能力だけでなく、相手国の相続手続きに関する知識も必要です。
■ 財産管理
英語スキルとともに、外国の法律知識を持ち合わせている司法書士は、外国籍の財産を管理することができます。
今回は、司法書士が英語を習得する必要性やメリットを解説するとともに、英語を使う主な業務内容についても紹介しました。国際化社会が進み、司法書士も例外なく英語力が求められる場が増えてきています。英語ができれば、受注できる仕事の幅が広がったり、収入増が見込めたりと、持っていて損はないスキルです。とくに、国際的な仕事に興味を持った方は、ぜひこれを機会に英語を習得しましょう。