司法書士の年収はどれくらい?勤務と独立ではどのように違ってくるのか
司法書士を目指す人にとって、仕事内容や向き不向き、やりがいと同じくらい気になるのが年収ですよね。国家資格ということもあり、なんとなく高収入なイメージを抱かれがちな司法書士ですが、実際はどのくらいの年収なのでしょうか。独立した場合や企業に所属して働く場合に収入はどれほど変わるものなのかも含めて解説します。
司法書士の年収はどれくらい?
司法書士の平均的な年収は、2012年の司法書士白書によれば877万円となっています。司法書士は、その知識であらゆる法律に関わる書類の作成や提出などを行う専門職です。ですので、一般的なサラリーマン等に比べて高収入を得ているのも納得できます。
しかし、あくまでもこれは司法書士の「平均」年収です。実際には、どのような勤務先で働くのかということに加えて、雇用形態やこれまでの司法書士としてのキャリア、勤務地などによって大きく差があります。すなわち、この平均年収を遥かに凌ぐ高収入の司法書士もいれば、逆にもっと低い年収で働いている司法書士もいるということです。司法書士になるには、難易度が非常に高い国家試験に合格する必要があります。
司法書士試験に年齢制限はないため、若くして司法書士の肩書きを手に入れる人もいれば、40代になってからやっと司法書士になるという人も少なくありません。司法書士になるのが早かった人ほど、その分キャリアを積むことができます。キャリアがあれば、必然的に年収も上がる可能性が高くなります。つまり年齢に関係なく本人の努力次第で年収が大きく変わってくるシビアな世界でもあるのです。
司法書士は企業に勤めるのと独立するのでは収入が違ってくる?
前述しましたが、司法書士の年収は勤務先によって大きく差があります。司法書士の勤務先は、大まかに分けると独立して自分の司法書士事務所を設立するか、他の事務所に所属して勤務するかのどちらかです。多くの人が想像する「高収入な司法書士」は、前者であることがほとんどです。自分の事務所を持っている司法書士であれば、年収1,000万円以上を得ている人も珍しくありませんし、それ以上に稼いでいる人もたくさんいます。
しかし、独立して事務所を立ち上げるとなると、司法書士本人にもかなりのキャリアと能力が求められます。司法書士になってすぐに自分1人で事務所をやろうという人はほとんどいませんし、大多数の司法書士は最初に他の事務所に勤務して経験を重ねてから独立するものです。
さらに、独立してからもすぐにクライアントが増え、順調に事務所が成長するとも限りません。事務所を設立してある程度の年月が経たなければ高い年収を得ることはできませんし、下積みと地道な努力があってこその高収入であるといえるのです。
対して、司法書士事務所に社員として勤務する場合、その事務所が大手かどうか、事務所の場所が地方か大都市かによって年収も異なります。一般的な司法書士事務所に勤務する司法書士の年収は、一般企業のサラリーマンとほぼ同額程度だといわれています。
それに比べて大手事務所の収入は高く、本人の努力次第ではありますが500~700万くらいの年収を得る人も少なくありません。また、これは一般企業にもいえることですが、大都市にある事務所に所属する司法書士のほうが地方より年収が高い傾向にあります。
司法書士になるためには?
司法書士になるためには、まず司法書士試験に合格する必要があります。司法書士試験は国家資格の中でも高い難易度を誇っており、例年合格率は3%程度です。そのため、多くの人が専門の予備校に通ったり通信教育を利用したりして、数年かけて合格を目指すことがほとんどです。
年齢や学歴は関係なく誰でも受験できるので、大学在学中にダブルスクールで合格を目指す人もいれば、社会人になってから仕事と勉強を両立して目指す人もいます。試験内容は筆記試験と口述試験で、筆記試験は11科目あります。この筆記試験に合格した人だけが口述試験に進むことが可能です。晴れて試験に合格すると、司法書士会に入会して司法書士名簿に登録できます。その後も所定の研修や修了考査を受けることでようやく司法書士として仕事をすることになります。
実は司法書士試験に合格する以外に、もう1つ司法書士になる方法があります。裁判所書記官や裁判所事務官、法務事務官、検察事務官などになり、所定の期間業務に携わった後に認定試験を受け、司法書士資格を得るという方法です。しかしこちらはごく一部の公務員に限られますし、あまり現実的とはいえません。最初から司法書士だけを目指しているのであれば、やはり司法書士試験の合格を目指すのが1番の近道です。
司法書士の年収は働き方によって大きく変化することがおわかりいただけたでしょうか。独立して自分の事務所を設立するか、既存の事務所に勤務するか、それぞれにメリットとデメリットがあります。前者の年収は高いですがリスクも背負うことになり、後者は月々安定した収入を得られますが飛びぬけて高い収入を目指すことは難しくなります。自分のキャリアプランに応じて選択することが大切です。